10.20 カブ鍋打ち上げ 中編

前編の続き

夕食後、お風呂へ。

さぁ、ここで事件が起こった。ここで、この事件の全貌を書いておきたいと思う。


浴場はとても広かった。１２時間走行で疲れきった僕は、何が何でもジャグジーに入りたかった。

はやる気持ちを抑え、急いで身体を洗う。目の前に備品の髭剃りが置いてあった。１枚刃と２枚刃が選べるようになっていた。

何故か一個だけ、スペシャルバージョンの豪華な髭剃りがあった。新し物好きな僕は、迷わずラスト１個のそれを手に取った。

髭剃りじゃなかった。むしろこれは備品じゃなかった。

サクっと皮膚が切れて流血した。

とりあえず、慌てず騒がず身体を洗い、湯船に浸かりながら、さて、どうしたものかと考える。
血行が促進されてドクドク血が出てきた。
もはやタオルでは抑え切れない。急いで出る。服を着て絆創膏を貰いに行こう。ロッカーに走る。

しかし、なぜかロッカーには鍵がかかっている。

そういえば鍵を持って風呂場に入った記憶がない。


ひょっとして鍵を挿しっ放しだったのか。そして誰かに鍵を持って行かれたのか。

さぁ事態は急変だ。服は鍵のかかったロッカーの中。

手元には小さなタオルが一枚。そしてロッカーに入りきらなくて上に置いていたヘルメット。

こうなったら腰にタオルをまいて受付に事情を話しにいくしかない。

しかし、男湯を出た先には女湯の入り口が。

タオル一枚でいるところをレディーたちに見られては恥ずかしい。

こうなったら残るもう一つのアイテム、ヘルメットを装着するしかない。


いや、全裸+タオル+ヘルメット、この組み合わせは限りなくアウトだ。カブ鍋打ち上げ終了の危機。


とにもかくにも全裸の僕には、鍵を探す手立てがない。全裸でよかったことといえば、ポケットの中を探す手間が省けたことくらいだ。


そうだ、USKさんがいるかもしれない。浴場を探し回る。

いない。さすが駿健５時間前集合の方だ。入浴も一瞬だ。


３０分は浴室で悩んだだろうか。そこへ運よく健康ランドスタッフの方が。


事情を話すと、「少々お待ちを！！！」と焦り気味に言い残し奥へ消えていった。
口元から血を流し、さらに血だらけのタオルを持った全裸の男に突然、「鍵がないです」なんて言われては、焦るのも当然かもしれない。

結局、鍵がさしっぱなしのロッカーを見つけて、他のスタッフの方が預かってくれていたようだ。５分後にはスタッフの方が鍵を持ってきてくれた。

かくして、湯けむり密室事件は見事解決。


あとは何食わぬ顔をして、集合場所のロビーに戻るだけだ。


ロビーにて。

そこではすでに、USKさんとボニさんがビール片手に座っていた。

僕は流血の止まらない唇を抑えながらも「いやーいいお湯でしたね」なんて言いながら爽やかに合流。

ロビーでは僕の到着の少し前、ボニさんと宿泊メガネ少年による、閲覧用パソコン争奪戦が繰り広げられていたようだ。勝負は結局ボニさんの敗退に終わったようで、ボニさんはメガネ少年に憤慨していた。

カブ鍋メンバーのいるところ事件あり。そんなことを思っていた。



メンバー全員がロビーに集まったところで、飲み会再開。


ここでも何を喋ったのかあまり覚えていないが、駿健公式ユニフォームである、黄土色の浴衣を一人身にまとい、誰よりも満喫していたUSKさんの姿が今でも鮮明だ。


０時を少し回ったところで飲み会は解散し、各自仮眠室へ。


次の日のスケジュールは全員で記念撮影。


続く